【医師が教える】ヒアルロン酸のやり過ぎで不自然にならないための相談の仕方

ヒアルロン酸は、気になる部分を手軽に整えられる便利な施術ですが、その一方で「やりすぎて不自然になってしまったらどうしよう」と不安に感じる人も多いと思います。SNSでは涙袋が大きくなりすぎた例や、口元が不自然に張り出してしまった症例を見ることがあり、自分が受けたときも同じようにならないか心配になりますよね。

実際のところ、ヒアルロン酸が不自然に見えてしまう原因は、ただ量が多いだけではありません。入れる位置のわずかなズレ、使う製剤の硬さの選択、顔全体のバランスの取り方、そして医師のデザインの考え方など、さまざまな要素が重なることで「やりすぎ感」は生まれます。また、自然に仕上げるためには、必要な量を最小限にし、骨格や脂肪の位置を踏まえながら元のバランスへ戻す意識で注入するなど、専門的な視点が欠かせません。

この記事では、ヒアルロン酸注入をナチュラルに仕上げるのが得意なカメリア美容皮ふ科の澤田芽ぐみ院長にヒアルロン酸を自然に仕上げるコツや失敗しない相談方法、クリニック選びのコツについて解説していただきました。

目次

ヒアルロン酸がやりすぎて不自然に見える原因

ヒアルロン酸は本来とても自然に整えられる施術ですが、いくつかのポイントが噛み合わないと一気に「やりすぎ」た印象になってしまうことがあります。量・位置・製剤の選び方、そしてデザインの考え方など、複数の要因が重なることで違和感が生まれます。

必要以上の量が一度に入ってしまう場合

やりすぎ感が出る最も分かりやすい理由は、必要な量を超えてヒアルロン酸を入れてしまうことです。ヒアルロン酸は少量でも変化が出やすいので、ほんの少し多く入れただけでも膨張した見た目になり、人工的な印象が強くなります。特に涙袋や唇、ほうれい線などの繊細な部位は、1回でまとめて多く入れるほど不自然になりやすく、控えめに始めたほうが自然な仕上がりにつながります。

注入する位置や層が適切でない場合

不自然に見える原因として、注入位置のズレも大きく影響します。本来入れるべき層より浅い位置に注入すると、表面に膨らみが出たり、光の加減で透けて見えたりすることがあります。逆に深すぎる層に入れてしまうと、必要以上に輪郭が強調され、硬い印象になってしまうことがあります。わずかな位置の違いでも仕上がりが変わるため、位置と深さの判断は非常に重要です。

製剤の硬さや種類が部位に合っていない場合

ヒアルロン酸には硬さや粘度の違いがあり、部位によって適した種類が異なります。柔らかい質感が必要な涙袋に硬い製剤を入れてしまうと、丸く不自然に盛り上がってしまいますし、逆に形をしっかり出したい鼻や顎に柔らかすぎる製剤を使うと、ラインがぼやけて理想とは離れた結果になります。適した製剤を選べていないケースは、やりすぎ感が出てしまう大きな要因の一つです。

顔全体のバランスを見ず部分だけを整えてしまう場合

ヒアルロン酸注射をやりすぎて不自然に見える理由として、気になる部分だけを大きく変えてしまうことも原因になります。顔はパーツ同士のバランスで自然さが決まるため、たとえば涙袋だけ急に大きくすると、そこだけが浮いて見えて不自然に見えてしまいます。部分的な変化だけを追いかけるデザインは、全体の流れを乱してしまいやすいのです。

医師のデザインや感性が合っていない場合

最後に、医師の施術スタイルやデザインの感性があなたの理想と合っていない場合も、不自然な仕上がりにつながる理由になります。あなたが「自然にしたい」と希望していても、医師が変化をしっかり出すスタイルを好む場合、結果的に意図とは違う仕上がりになりやすくなります。症例写真やカウンセリングで、医師の方向性があなたの希望と一致しているかを確認することが大切です。

ヒアルロン酸は入れすぎてしまっても溶かせる

万が一、ヒアルロン酸を入れすぎて不自然になってしまっても、ヒアルロン酸は「ヒアルロニダーゼ」という酵素を注射して分解することができます。

施術前にはアレルギーの有無を必ず確認し、施術後はむくみや腫れが一時的に出ることもあるため、数日は経過を見ながら過ごす必要があります。

特に涙袋や唇のように皮膚が薄い部位では、慎重に溶解を進める必要があり、経験のある医師のもとで行うことがとても大切です。

溶かした後、再注入するときに気をつけること

溶解した部分は一時的に炎症が起こる場合があるため、腫れや炎症が落ち着ちつくまで、1週間から2週間程度ほど間隔をあけます。

そのうえで、再度ヒアルロン酸を入れるときは少量から慎重に行い、前回の仕上がりを踏まえてデザインを見直しながら調整していくことが自然な結果につながります。

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ヒアルロン注入を自然に仕上げるコツをカメリア美容皮ふ科澤田芽ぐみ院長に聞いてみた

ヒアルロン注入をナチュラルに仕上げるのが得意なカメリア美容皮ふ科の澤田芽ぐみ院長にヒアルロン酸を自然な仕上がりにするためのコツについて伺いました。

ヒアルロン酸を自然に仕上げるためには、「どれだけ入れるか」だけでなく、「どう入れるか」「どんな考え方でデザインするか」がとても大切です。

特にヒアルロン酸を注入するときは3つのポイントに気を付けて施術を行っています。

と解説していただきました。

お顔全体の“バランス”と“動き”を診たうえで、必要量をミニマムに留めること

自然に仕上げるための第一歩は「量を最小限にすること」です。

ただし、闇雲に少なくするのではなく、あなたの顔全体のバランスや、笑ったとき・話したときの動きまで見たうえで、本当に必要なところだけにポイントを絞って注入することが重要です。

たとえば、ほうれい線が気になる場合でも、線そのものを完全に埋めるより、頬の位置をほんの少し整えるだけでシワが目立たなくなることがあります。

このように、「ちょっと物足りないかな?」と感じるくらいが、実は最も自然で美しく見えるバランスで、やりすぎ感を防ぐためにとても大切な考え方です。

骨格・脂肪・筋肉の状態を診断し、ボリュームを足すのではなく「本来の位置に戻す」意識で注入する

ヒアルロン酸で自然な仕上がりをつくるには、ただ単にボリュームを足すのではなく「本来あった場所に戻す」という意識が欠かせません。顔の老け見えは、単にボリュームが減るだけでなく、骨格の位置がわずかに変わったり、脂肪が下がったり、筋肉の働きが偏ったりすることで起こります。

たとえば、頬が下がってほうれい線が目立っている場合、その線だけを埋めるより、頬の支えが弱くなっている部分に少量だけヒアルロン酸を入れて「元の位置」に戻してあげるほうが、自然で若々しい印象になります。

唇も同じで、膨らませることを目的にすると不自然になりやすいですが、バランスを少し整えるだけでほどよく立体感が出て上品な仕上がりになります。

この「元の位置に戻す」という注入の考え方は、ナチュラル志向の施術でとても大切で、結果として過度な膨張を防ぎ、違和感のない自然な変化につながります。

一度に多くを入れすぎず、段階的に調整することで過度な膨張を避ける

自然に仕上げたい人ほど「一度に全部を完成させない」ことがとても大切です。ヒアルロン酸は少量でも見た目の変化が出るため、一気に多く入れると、それだけで膨張感が出てしまい、思っていた以上に人工的な印象になってしまうことがあります。

まず最小限の量からスタートして、鏡で確認しながら必要な分だけを追加できるため、自然な変化のまま理想の形に近づけることができます。特に涙袋や唇など、0.1ccの違いで印象が変わりやすい部位では、段階的な施術も有効です。

段階的に調整することで「やりすぎ」を確実に防ぎながら、あなたの骨格に合った美しいバランスに仕上げることができます。

ヒアルロン酸注射で失敗しないための3つの相談ポイント

カメリア美容皮ふ科の澤田院長によると、「ヒアルロン酸注入で失敗したくない人は、施術前のカウンセリングがポイントです。医師からすると、ただ「ここが気になる」と伝えるだけではなく、理想や生活背景まで共有することで、よりあなたに合った施術がしやすくなります」と語ります。

ここではヒアルロン酸注入で失敗しないための3つのポイントについて解説していただきました。

「気になる部分」だけでなく、「理想の雰囲気・印象」を共有する

カウンセリングでは、たとえば「ほうれい線が気になる」「涙袋を少し足したい」というように、気になる部位を伝える人が多いのですが、それに加えて「どんな雰囲気になりたいのか」を共有することがとても大切です。

同じほうれい線の施術でも「自然に若々しく見せたい人」と「しっかり変化を出したい人」では注入量やデザインが大きく変わるからです。

理想のイメージは、芸能人の写真でも、自分の昔の写真でも構いませんし、「柔らかい印象にしたい」「知的に見られたい」など抽象的でも大丈夫です。

医師にあなたの「なりたい印象」が伝わるほど、やりすぎを避けながら自然な仕上がりに導きやすくなります。

ダウンタイムの許容範囲や仕上がりの好み(とにかくナチュラルに/変化を出したい等)を事前に相談する

施術後の過ごし方や仕事のスケジュールに影響する「ダウンタイムの許容範囲」も、必ず相談しておきたい大切なポイントです。

例えば、内出血を極力避けたいのか、多少の腫れが出ても大丈夫なのかによって、注入方法や使う製剤のタイプが変わることがあります。また、「とにかく自然に仕上げたい」人と「変化をしっかり出したい」人では、適切な量やデザインがまったく異なります。

あなたがどれだけの変化を求めているか、仕事や生活のスケジュールにどの程度左右されるのかを事前に共有することで、医師は最も無理のない方法で、満足度の高いプランを提案しやすくなります。

過去の施術歴(ヒアルロン酸・脂肪溶解・レーザーなど)を正確に伝えることで、より安全な治療計画が立てやすくなる

ヒアルロン酸の施術を安全に行うためには、過去の美容施術歴を正確に伝えることが欠かせません。

特にヒアルロン酸を過去にどこの部位へ、どのくらいの量で、どの製剤を使用したかは、仕上がりやリスクの判断に直結します。

また、脂肪溶解やレーザー治療を行っている場合も、皮膚の状態や組織のボリュームに影響を与えるため、必ず共有したほうがいい情報です。

話しづらい部分があっても、正確に伝えることで余計なリスクを避けられ、最適な治療計画を立てるための助けになります。

ヒアルロン酸注入を自然に仕上げたい人が選ぶべきクリニックの2つのポイント

カメリア美容皮ふ科の澤田芽ぐみ院長は、「ヒアルロン酸を自然に仕上げてもらえるクリニックかどうかは、症例写真と実際のカウンセリング時の対応が参考になる」と教えていただきました。

症例写真が自然で、患者様本来の表情を損なっていないか

症例写真は医師の「仕上がりの癖」がもっとも分かりやすく表れる部分で、自然に見えるかどうかを判断する大きな材料になります。もし掲載されている写真の多くが、無表情でも不自然に張り出していたり、表情を作ったときに硬さを感じるような印象があるなら、ヒアルロン酸を過度に注入する傾向がある可能性があります。

反対に、自然に微笑んだときの柔らかい表情がそのまま残っていたり、施術後も「その人らしさ」が失われていないなら、自然志向のデザインが得意な医師だと判断できます。特に、横顔のラインや笑ったときの目元・口元の動きまで分かる写真がある場合は、医師が細部のバランスまで丁寧に考えている証拠になります。

必要量だけでなく「不要な施術は不要」と明確に伝えてくれる

カウンセリングで信頼できる医師かどうか判断するときは、単に「何cc入れましょう」と量を提案するだけでなく、「これは今のあなたには必要ありません」とはっきり伝えてくれるかどうかがとても重要です。必要な施術だけを提案し、不要なものはすすめない医師ほど、利益よりも仕上がりの自然さを優先してくれるので信用できます。

気になっていない部位に「ここにも追加しましょう」と安易に勧めてくる医師であれば、やりすぎのリスクが高くなる可能性があります。一方で、「ここは今回は触らない方が自然に見えると思います」「今の量で十分きれいなので追加は不要です」といった意見をしっかり伝えてくれる医師は、あなたの顔全体を客観的に評価できている証拠です。

まとめ

今回は、カメリア美容皮ふ科・澤田芽ぐみ院長に、ヒアルロン酸を自然に仕上げるためのポイントから、相談の仕方、クリニック選びまで解説していただきました。

ヒアルロン酸は量だけでなく、骨格や脂肪の位置を踏まえて“元のバランスに戻す”意識で少量ずつ整えることが自然な仕上がりにつながります。

カウンセリングでは、気になる部位だけでなく「どんな雰囲気になりたいか」まで共有することが大切で、過剰な施術を勧めず必要な提案だけをしてくれる医師を選ぶと安心です。

症例写真の自然さや、段階的に調整してくれる姿勢もクリニック選びのポイントです。こうした点を意識することで、ヒアルロン酸のやりすぎを防ぎ、自然な変化を叶えやすくなります。

この記事の監修医師

カメリア美容皮ふ科院長 澤田芽ぐみ院長

経歴

  • 藤田保健衛生大学卒業(現 藤田医科大学)
  • 藤田医科大学病院 皮膚科
  • 名古屋市内美容皮膚科
  • 大手美容外科
  • 咲くらクリニック

得意施術

  • ボトックス治療
  • スネコス注射
  • 脂肪溶解注射
  • ヒアルロン酸治療

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コアクリニック院長 江崎正俊

経歴

  • 名古屋大学医学部医学科卒
  • 大手美容外科 院長歴任
  • eクリニック西日本統括医師

得意施術

  • 鼻整形
  • クマ治療
  • 目尻切開
  • グラマラスライン形成
  • 人中短縮
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